- 記憶喪失になった人も思い出せる?
- 懐かしい香りって、何かリラックスするんだよなぁ
- 香りから思い出す出来事がいっぱいある!
- 勉強する時も、記憶力は良くなる?
- 専門家に聞いてみたい
漂ってきた香りで、ふと昔の記憶がよみがえったことはありませんか!

「この匂いなつかしいなぁ♪ 昔よく〇〇〇していたときの香りだ☆」なんて思い出すと、心がやすらぎます♪
ただし、「香りと記憶の関係性」をしっかり理解している人は少ないはずです。

私も、「金木犀(きんもくせい)の香りを嗅ぐと昔の記憶が蘇ってくるのはなんでだろう?」と思ったことがありました
そこで今回は、「香りと記憶の結びつきとその仕組み」について解説します!
この記事を読めば、楽しい記憶、苦い記憶、今まで思い出せなかった記憶など、香りを使って効率よく思い出すことができるはずです♪
香りで記憶がよみがえるのは事実

香りで記憶がよみがえるのは、事実です。
日常生活の中には、必ず何かしらの香りが漂っています。
- 歯磨きをしていれば、歯磨き粉の香り。
- トイレに行けば、消臭剤の香り。
- 床屋さんに行けば、床屋さん独特の香り。

こういった香りは、普段何気なく生活していればとくに気に留めることはありません
ですが、香りというのは、嗅覚を伝って脳内へ無意識のうちにしっかり伝達されているんです。


つまり、自然と香りが記憶に留(とど)められているというわけです
あなたにとって記憶に残る出来事があった場合、その時に漂っていた香りを嗅ぐだけで、いつでも情景を思い出すことができるんです。
2020年に流行った邦楽曲、「香水」がまさにそれです。
≪ 歌詞 ≫
別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ
※一部抜粋 「香水」より
「彼女とはすでに別れているのに、ドルチェ&ガッバーナの香水を嗅ぐと、3年前の記憶が今でも鮮明によみがえるんだ」といった歌詞です。

当時は何とも思わなかった香りが、情景とセットで記憶されていたため、香りを嗅ぐだけで苦い記憶が蘇ってしまっているんです!
香りは、楽しい記憶・悲しい記憶・寂しい記憶・安らかな記憶、すべての記憶に結び付いています。

必ずしも良い記憶のみ思い出すといったことではないので、そこは覚えておきましょう。
ここまで話した通り、香りで記憶が蘇るというのは本当にあり得ることなんです。
あなたにとって特別な思いでの中にも、「香り」という思い出が組み込まれている可能性があります。

ふとしたタイミングで、昔を思い出す香りと出会うかもしれません♪
特定の香りを嗅ぐことによって、それに結び付く記憶や感情が呼び起こされる現象を「プルースト効果」と言います。
筆者の体験例

ー祖母の死と向き合うー
私がまだ理美容師の見習いだった頃、出勤途中に祖母の訃報を知らされました。
入院していたとはいえ、「もうちょっとで退院できるかなぁ」くらい元気を取り戻していた最中(さなか)のくも膜下出血でした。
イチあまりの悲しみと動揺で、病院に駆け付けた時の道のりは今でもほとんど覚えていません
その後、葬儀も終わりひと段落したとはいえ、気持ちの整理は全然できないままでいました。
そんな日々を過ごしていたある日、近所の家の前をふと通りかかると、どこか懐かしく心が穏やかになるような香りがしたんです。
金木犀(きんもくせい)の香りでした。
香りを嗅いだ途端、元気だった祖母の姿が一気に思い出されたんです。
イチ元気だった頃、一緒に過ごしていた日常生活の何気ない風景でした
祖母と共に過ごした日々の中に、毎年秋口になると必ず香っていた金木犀も、いつの間にか思い出として記憶されていたんです。
香りを嗅いだ途端、気持ちも穏やかになり、心の整理も少しずつできるようになりました。

この話は『悲しみを癒すアロマについて』の記事でも、少し話しています
このように、私の場合は金木犀が特別なものとしてインプットされていたんです。
誰かと共に過ごした日々の中に特別な香りがあったとすれば、それがトリガーとなって記憶を呼び起こすことは実際にあるんです。
記憶喪失にも有効?

香りを嗅ぐことで、記憶喪失の方が断片的に記憶を取り戻したという事例が実際あります。
10年以上記憶喪失の治療をしても、なかなか記憶を取り戻すことができない子どもがいました。
そこで、昔に嗅いだことのある香りを嗅がせたところ、断片的に記憶を取り戻すことに成功したということが、海外でありました。

このことからも、記憶喪失の回復に香りを嗅ぐことは有効な手段と言えます
ただし、どういった香りがその人にとって特別だったのかを特定するのは難しいところです。
家族と共に過ごした楽しい思い出には、香りの思い出も強く残っていると言われています。
あなたにも、思い出の香りはないですか?

- 家族と楽しく食べた、お菓子の香り
- 旅行に行った際の、海鮮市場の香り
- 季節になると毎年訪れた、チューリップ畑の香り
- 毎日泥だけになっても楽しくて続けた野球。その時の土の香り

こういった香りが、断片的に記憶を呼び覚ます要因になることがあります
嗅覚は、特別な五感

人間には、五感が備わっています。

視覚、味覚、聴覚、皮膚感覚、そして嗅覚です
中でも、嗅覚だけが他の4つとは違った脳への伝達経路を持っているんです。
視覚、味覚、聴覚、皮膚感覚は、大脳へ刺激が伝達される前に必ず”視床”を経由して伝わります。
ですが、嗅覚のみ大脳へダイレクトに信号が伝達されるんです!


何が特別なのかちょっとわかりづらいので、睡眠中で例えてみます
人は、眠りにつくと様々な機能が低下します。
これは、体を休ませるためにとられる症状なので、致し方ないことです。
寝ていれば、視覚、味覚は機能しません。
皮膚感覚や聴覚も鈍ります。
しかし、嗅覚だけは睡眠中も機能が低下することはないんです!


つまり、寝ていても香りだけは敏感に感じ、脳で認識することができるというわけです
常に休まず機能している五感は、唯一嗅覚のみ。
ゆえに、最も原始的な器官と言われ、今だ謎が完全に解明されない特別な五感(嗅覚)と言われているんです。
アロマと記憶力について

ここからは、アロマと記憶力に関するお話をします。
今回お伝えする「アロマ」というのは、植物成分100%の精油から得られる香りのこと指します
脳の中で記憶能力に大きく関わっているのは、大脳辺縁系に属する「海馬」という場所です。


海馬は、記憶や空間学習能力を司る場所で、物事を覚えるのにとても大切な場所なんです
その海馬が何らかのダメージを受けると、記憶が飛んだり忘れてしまうというわけです。
ダメージとなる最大の原因は「心理的ストレス」と言われています。
ストレスを感じ続けると、記憶力を司る海馬が徐々に破壊されていくんです。
「ストレスなんて仕事で毎日感じてるよ・・・」という方も、結構いるはずです。
この話を聞くと「このままだと、物忘れがひどくなるんじゃ・・・」と、心配になります。

確かに、そのままでは決して良いとは言えません
「どうすればいいの?」という方へおすすめなのが、アロマというわけです。

精油には、心身の生理機能を整える効果があります。
ストレスの解消や自律神経の調整など、様々なことを改善してくれるんです☆
記憶力を高めたいという人もアロマを活用すれば、より良い結果が残せる可能性があります!

香りを嗅ぐことで海馬が刺激され、記憶力がアップするという仕組みを利用しているんです
先述した通り、香りと記憶は深い関係にあります。

日頃からアロマを嗅ぎつつ勉強すれば、試験のとき同じ香りを嗅ぐことで、今までやってきた勉強内容を呼び起こすことも不可能ではありません。
このように、心身をリラックスされるだけでなく、記憶力の向上も図れるのがアロマだというわけです☆
アロマと認知症の関係

認知症の方の症状として、香りを感じづらくなることが挙げられます。
もし、「香りが変に感じる・・・」「においがわからない・・・」などの不調があった場合は、一度病院で検査を受けてみるのもいいかもしれません。

認知症にならないためにも、または認知症を改善するためにも、香りを嗅ぐという行為は大事なことです
- 好きな香りの花を飾る
- 外の空気を吸いに出かける
- 昔好きだった料理を食べる
こういったことを継続的に続けることも、認知症の改善に効果があると言われています。

すべて、「香りを感じる」という行為に繋がっているんです
今では、『アロマ』は医師が推奨する認知症改善の一つでもあります。

少しでもアロマが気になった方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
「認知症とアロマの関係性」について詳しく知りたい方は、下記で解説しています。
まとめ
香りで記憶がよみがえることは、あります。
人というのは、記憶に残る出来事があった場合、その時に漂っていた香りも一緒に覚えているからです。
- 昔よく行った駄菓子屋さん
- 父親に連れて行かれた床屋さん
- 家族旅行で行った山寺
こういった場所には、必ず風景と一緒に特別な香りがあったはずです。

無意識のうちに、脳は記憶しているというわけです
記憶喪失の人が香りを嗅いだ瞬間、記憶が断片的によみがえったというのも、こういった要因が考えられます。
嗅覚から取り込まれた香りは、特別な経路をたどって脳へ伝達されます。

直接大脳へ刺激を送ることができるので、脳も記憶として残しやすいんです
勉強する際、香りを嗅ぎながら取り組んでみましょう!
テストのときに同じ香りを嗅ぐことで、勉強した内容がクリアに思いだされる可能性は十分にあります☆
認知症の方は、香りを嗅いで脳を刺激することが、記憶を呼び覚ます要因になります。
進行を遅らせることもできるので、嗅ぐという行為はとても大切なんです。
アロマは心地よい空間を演出するだけでなく、心身を健やかな状態へ導く手助けもしてくれます。
今回の話でアロマに興味が出た方は、ぜひアロマテラピーを試してみましょう☆

ストレス社会で働く男性も、どんどん試してください!
というわけで、今回は「香りと記憶の結びつきとその仕組み」について解説しました。
香りに少しでも興味をもってくれたら、幸いです。
香りの情報は、嗅覚を伝って脳内の海馬や視床下部などに直接伝達されます。
そのため、覚えた記憶や情動と合わせて香りもインプットされやすいんです♪