- 「カットしやすいように首を傾けている!」
- 「ヒゲを剃りやすいように顔を突っ張らせている!」
理美容師のことを考え、こういった行動をいつもとっている人いませんか!?

「理美容師さんも、その方がやりやすいんでしょ♪」
と今も思っている方へ、理美容師を代表して言わせて頂きます。
できることなら、動かないでいただけるとありがたいです(苦笑)
お客様の善意の行動というのは十分感じているのですが、その行動が逆に仕上がりを悪くしたり、ケガのもとになってしまうかもしれないんですよね・・・。
ということで、今回は「お客様が善意で頭や顔を動かすことで起こり得るトラブル」について、理美容師歴20年余の私 イチ が解説したいと思います☆
この記事を読めば、お客様が善意で動く行動に対しての理美容師の大変さがわかると思いますよ♪
頭を傾けることによるトラブル(ヘアカット編)

カットしやすいように、頭を傾けて「はいどうぞ☆」みたいに気遣いしてくれるお客様は度々見受けられます。

その心遣いはとてもうれしいんですが、実はカットする際にはできたらやめて頂けるとありがたいのが理美容師の本音なんですよね・・・
ケガに直結するわけではないんですが、その行動が仕上がりと作業時間に大きく関わってくるんです。
実際、どのような影響が出るのか下記をご覧ください↓
- 左右の長さが合わせづらい
- 刈り上げしにくい
- 度々頭をまっすぐにしてもらう必要がある
- 仕上がりまでに時間がかかる
1. 左右の長さが合わせづらい
カットする際、お客様が頭を傾けてしまうと両サイドの長さを均等に合わせづらくなります。


頭が傾いていると、鏡で長さの確認ができないんです・・・
そのままカットし終わったとしても、頭をまっすぐに戻すと必ず長さに違いが出てしまうんですよ。
結果、また同じ個所をカットし修正しなければいけなくなるというわけです・・・。
また、頭を傾けるだけでカットラインに若干のズレが生じます。

レイヤー(段差)が勝手に入ってしまうんです・・・
きれいなボブスタイルやワンレングスにしたい時には、致命傷になるので注意しましょうね!
2. 刈り上げしにくい

刈り上げなど短い髪型にする際にも、頭が傾いているとデメリットがあります。

刈りやすいように頭を傾けてあげようという心遣いはとてもありがたいんですが・・・
傾いている状態で刈り上げをしようとすると、両サイドの刈り上げの高さが合わせづらくなるんです・・・。
また、頭が傾いていることでクシの運行角度が定まらず、高く刈りあがってしまう可能性もあります。
刈り上げなどの繊細な作業がより大変になることもあると、理解しておいてくださいね!
3. 度々頭をまっすぐにしてもらう必要がある

理美容師はカット中、鏡でシルエットの確認をします。
- 両サイドの長さ
- 重い場所
- 顔に対しての似合わせ
- 刈り上げの高さ etc

これらを何度も確認しながら、最終的に仕上げていくわけです☆
そのため、頭が傾いてるお客様には何度も頭をまっすぐに直してもらう必要があるんですよ。

これが意外と大変で、お客様へ一言お声がけしてから頭をまっすぐにしてもらうことになるんです
こんな言葉をかけつつ、頭をまっすぐな状態へ戻すというわけです。
この行動が何度も続くと、お客様もちょっと気に障りませんか?

だから、お声がけを何度もするのは、理美容師にとっても気が引けることなんです
「何度も申し訳ないなぁ・・・」
と思ってしまう理美容師も少なくなく、できる限りそのままの状態でカットしようと頑張る人も結構いるくらいですからね。
そうすると結果的に、仕上がりに誤差が生まれたり思い通りの髪型にならないという事態が起きてしまうというわけです。
4. 仕上がりまでに時間がかかる

傾いている頭をまっすぐに戻してシルエットの確認をする作業が増えるので、結果的に時間がかかります。

真っすぐな状態でカットを進めていければそれほど時間のかからないことでも、頭が傾いていることで時間のロスが生まれるんです
仕事の効率を考えるのであれば、やはり動かないで同じ姿勢でいて頂く方が断然いいんですよね!
なので、出来るだけ早くカットを終えたい人は、頭をまっすぐにして動かないことがベストだというわけですよ☆
肌を突っ張らせることによるトラブル(お顔そり編)

理容室へ行かれる方は、髭剃りもセットでしてもらうことが大半だと思います☆
その際、自分で頬を膨らませたり顔を動かして肌を突っ張らせたりしていませんか!?

その心遣いはとてもありがたく、優しいからこそそのようなことをしてくれるんだなとは思います!
ですが、正直なところお顔そりに関してはケガに繋がる恐れがあるので、できたら力を抜いていただけるとありがたいんです☆
どうしてケガに繋がるのか?
その理由はこちらになります☆
- 引き手が効かなくなる
- 余計しわが寄って剃りづらくなる
- 気を遣わせていると思いペースが乱れる
1. 引き手が効かなくなる

理容師は、肌を痛めることなくきれいにヒゲを剃るため「引き手」を使って肌を張ります。

引き手とは、カミソリを持っていない方の手のことです
右利きなら左手を使って肌を張っているんですよ!
剃りたい場所の肌を的確に張ることが出来るので、スムーズに剃ることができるんです☆
お客様自ら顔を動かしたり力を入れたりすると、引き手が効かなくなるため逆に剃りづらくなるんですよ・・・。

結果、血がふきやすくなってしまうというわけです
また、深剃りは引き手でヒゲを起こすことが重要になります。
あなたが顔を膨らませたり力を入れてしまうと、ヒゲをうまく起こすことができなくなるため、深剃りも甘くなってしまうということもご理解ください☆
ひげ剃りの肌荒れ! 治すためにやるべき対策 3選 【理美容師】
2. 余計しわが寄って剃りづらくなる

あごや鼻下を剃る際に、お客が力を入れたり動いたりするのが一番危険です。

あごの部分に力を入れてしまうと、梅干しの種のようにシワが寄ってしまい、余計剃りづらくなるからですよ!
でこぼこすることで、かみそりの刃が滑らかに肌の上を滑ることができず、最悪肌を傷つけることになりかねませんよ。
鼻の下に力を入れると、シワは寄らないものの、引き手が効かずに剃りづらくなります。

深く剃れないばかりか、血がふきやすくなってしまうので気を付けてくださいね
3. 気を遣わせていると思いペースが乱れる

お顔そりの最中ずっと顔を動かされると、理容師は気が気でなりません。

「剃る場所を変える度に、力を入れる場所も変える」
こんなことを続けられると、理容師はついつい焦ってしまうんですよ!
「力を入れ続けて疲れないかな、早く終わらせなきゃ・・・!」
とつい思ってしまうんです。
引き手もろくに効かない状態で急いで剃ってしまえば、血が出やすくなったり肌を傷つけてしまうことに繋がってしまうというわけですよ。
イライラする理美容師もいる!

頭を傾けたり顔を動かす行為に対して、イライラしてしまう理美容師も中にはいます。

仕事に対する熱い気持ちがあるため、お客様の行為でうまくいかないことに腹が立ってしまう理美容師もいるというわけです
理美容師の全員が、接客上手とはいえません。
お客様のことを思って逆に指摘できず、ストレスをためてしまう人もいるということも理解していただけるとありがたいです!
カット中スマホをいじるのは個人的にOK

カット中スマホをいじることに躊躇している方もいるかもしれませんが、個人的には全然OKだと思っています!

頭が動かなければ、むしろその方が仕事をしやすいからです☆
会話が苦手なお客様や理美容師にとっても、スマホをいじることは良い理由になりますよ!
お客様にとっては話を振られることがなくなり、理美容師は会話を無理に探さなくて済みますからね♪

ただし、どうしてもスマホにはカットした髪が落ちてしまうので、それだけはご勘弁ください!
理美容師との会話についてアドバイス! お客様と理美容師の目線から
まとめ

ヘアカット中、頭を傾けることで起こり得るトラブルはこちら↓
- 左右の長さが合わせづらい
- 刈り上げしにくい
- 度々頭をまっすぐにしてもらう必要がある
- 仕上がりまでに時間がかかる
また、髭剃りの最中に顔を動かすことで起こり得るトラブルはこちら↓
- 引き手が効かなくなる
- 余計しわが寄って剃りづらくなる
- 気を遣わせていると思いペースが乱れる
理美容師は、お客様が動かない方が仕事がしやすいのは確かです!

好意で動いてしまうことはとてもありがたいことなんですが、逆に仕事を面倒にしているかもしれませんよ!
私個人的には、カット中のスマホいじりは全然OKだと思っています!
動かなければ仕事もはかどりますし、無理に会話を探さなくてもいいですからね☆
どうしても反射的に顔や体が動いてしまうという方は、意識的に動かないよう一度試してみてください。

意外と今までよりもスムーズに終わるかもしれませんよ♪
ということで、今回は「お客様が善意で頭や顔を動かすことで起こり得るトラブル」について解説しました☆

理美容室での振る舞い方の参考になれば幸いです♪