- 「カットしやすいように首を傾けている!」
- 「ヒゲを剃りやすいように顔を突っ張らせている!」
理美容師のことを考え、やりやすいように動いているという方いませんか?

「その方がやりやすいんでしょ♪」と思っている方へ、理美容師を代表して言わせて頂きます
できることなら、動かないでいただけるとありがたいです(苦笑)
お客様の善意の行動というのは、理美容師もじゅうぶんに感じています。
ですが、その行動が逆に仕上がりを悪くしたり、ケガのもとになってしまうかもしれないんです・・・。
というわけで、今回は「お客様が善意で頭や顔を動かすことで起こり得るトラブル」について解説します。
この記事を読めば、お客様が善意で動くことでによる理美容師の大変さがわかります。

動かないほうが、早くきれいな仕上がりになると思っていただけたら幸いです
頭を傾けることによるトラブル(ヘアカット編)

カットしやすいように、頭を傾けて「はいどうぞ」と気遣いしてくれるお客様は意外とたくさんいます。

心遣いはとてもうれしいんですが、「カットする際はできたらやめてほしい」というのが理美容師の本音になります
ケガに直結するわけではないですが、その行動が仕上がりと作業時間に大きく関わってくるんです。
どのような影響が出るのか、下記をご覧ください。
- 左右の長さを合わせづらい
- 刈り上げがやりづらい
- 度々頭をまっすぐにしてもらう必要がある
- 仕上がりまでに時間がかかる
左右の長さを合わせづらい

カットする際、お客様が頭を傾けてしまうと両サイドの長さを均等に合わせづらくなります。

頭が傾いていると、鏡で長さの確認をしっかりできないからです
カットを終えたとしても、頭をまっすぐに戻すと必ず長さに違いが出てしまうんです。
結果、また同じ個所をカットして修正しなければいけなくなるというわけです。
頭を傾けるだけで、カットラインに若干のズレが生じます。

レイヤー(段差)が勝手に入ってしまうんです
きれいなボブスタイルやワンレングスにしたいときはとくに、致命傷になるので注意しましょう。
刈り上げがやりづらい

刈り上げなど短い髪型にする際、頭が傾いているとデメリットがあります。
傾いている状態で刈り上げをしようとすると、両サイドの刈り上げの高さを合わせづらくなるんです。
クシの運行角度が定まらず、高く刈りあがってしまう可能性があるというわけです。

刈りやすいようにという心遣いはとてもありがたいんですが・・・
繊細な作業がより大変になるということを、理解しておいてください。
度々頭をまっすぐにしてもらう必要がある

理美容師は、カットしている最中に鏡でシルエットの確認をしています。
- 両サイドの長さ
- 重い場所
- 顔に対しての似合わせ
- 刈り上げの高さ etc

何度も確認しながら、きれいに仕上げていくんです☆
頭が傾いてるお客様には、何度も頭をまっすぐ直してもらうことになります。
まっすぐな状態で、シルエットをしっかり確認したいからです。

お客様へ一言お声がけしてから、頭を戻してもらいます
何度も同じことをお願いするのは、理美容師も少し気が引けます・・・。

お客様も、なんとなく嫌な気になるはずなんです
「何度も申し訳ないなぁ・・・」と思ってしまう理美容師も少なくありません。
できる限りそのままの状態でカットしようと頑張る結果、思い通りの髪型にならない事態が起きてしまうというわけです。
仕上がりまでに時間がかかる

傾いている頭をまっすぐに戻してシルエットの確認をする作業が増えるので、結果的に時間がかかります。

頭が傾いていることで、時間のロスが生まれるんです
仕事の効率を考えるのであれば、動かずに同じ姿勢でいただくほうが断然速いというわけです。
できるだけ早くカットを終えたい人は、頭をまっすぐにして動かないことがベストだと理解しておきましょう。
肌を突っ張らせることによるトラブル(お顔そり編)

理容室へ行かれる方は、ヒゲ剃りもセットでしてもらうことが大半だと思います。
自分で頬を膨らませたり、顔を動かして肌を突っ張らせたりしていませんか!?

心遣いはとてもありがたく、優しいからこそそのようなことをしてくれるんだなと感じています
ですが、正直なところお顔そりに関しては、お客様が動くことでケガにつながる恐れがあります。
力を抜いて自然にしてもらうほうが、安全に作業ができます。
動くことがケガにつながる理由は、下記になります。
- 引き手がきかなくなる
- 余計しわが寄って剃りづらくなる
- 気を遣わせていると思いペースが乱れる
引き手がきかなくなる

理容師は、肌を痛めることなくきれいにヒゲを剃るため「引き手」を使って肌を張ります。

引き手とは、カミソリを持っていないほうの手で肌を張ることです!
剃りたい場所の肌を的確に張ることで、スムーズに剃ることができます。
お客様が顔を動かしたり力を入れたりすると、引き手が効かなくなります。
肌をしっかり張れないため、逆に剃りづらくなるんです。

結果、血がふきやすくなってしまうというわけです
深剃りは、引き手でヒゲを起こすことが重要になります。
顔を膨らませたり力を入れてしまうと、ヒゲをうまく起こすことができません。

深剃りも甘くなってしまうということも、ご理解ください
余計しわが寄って剃りづらくなる

あごや鼻下を剃る際に、お客が力を入れたり動いたりするのが一番危険です。

あごの部分に力を入れてしまうと、梅干しの種のようにシワが寄ってしまい、余計剃りづらくなるからです!
でこぼこすることで、かみそりの刃が滑らかに肌の上を滑ることができません。
最悪、肌を傷つけることになりかねません。
鼻の下に力を入れると、シワは寄らないものの引き手が効かずに剃りづらくなります。

深く剃れないばかりか、血がふきやすくなってしまうので気をつけてください
気を遣わせていると思いペースが乱れる

お顔そりの最中ずっと顔を動かされると、理容師は気が気でなりません。

「剃る場所を変える度に、力を入れる場所も変える」
こんなことを続けられると、理容師はついつい焦ってしまうんです
「力を入れ続けて疲れないかな、早く終わらせなきゃ・・・!」とつい思ってしまいます。
引き手もろくに効かない状態で急いで剃ってしまえば、血が出やすくなったり肌を傷つけてしまうことに繋がってしまいます。
イライラする理美容師もいる

頭を傾けたり顔を動かす行為に対して、イライラしてしまう理美容師も中にはいます。

仕事に対する熱い気持ちがあるため、お客様の行為でうまくいかないことに腹が立ってしまう理美容師もいるんです
理美容師全員が、接客上手とはいえません。
お客様のことを思って逆に指摘できず、ストレスをためてしまう人もいるということも理解していただけるとありがたいです!
カット中スマホをいじるのは個人的にOK

カット中スマホをいじることに躊躇している方もいるかもしれませんが、個人的には全然OKだと思っています!

頭が動かなければ、むしろそのほうが仕事をしやすいからです☆
会話が苦手なお客様や理美容師にとっても、スマホをいじることにメリットがあります。
お客様にとっては話を振られることがなくなり、理美容師は会話を無理に探さなくても済むからです。

ただし、どうしてもスマホにカットした髪が落ちてしまうので、それだけはご勘弁ください!
まとめ
ヘアカット中、頭を傾けることで起こり得るトラブルは下記になります。
- 左右の長さが合わせづらい
- 刈り上げしにくい
- 度々頭をまっすぐにしてもらう必要がある
- 仕上がりまでに時間がかかる
ヒゲ剃りの最中に顔を動かすことで、起こり得るトラブルは下記になります。
- 引き手が効かなくなる
- 余計しわが寄って剃りづらくなる
- 気を遣わせていると思いペースが乱れる
理美容師は、お客様が動かない方が仕事がしやすいのはたしかです。

好意で動いてしまうことはとてもありがたいことですが、逆に仕事を面倒にしているかもしれません
個人的には、カット中のスマホいじりは全然OKだと思っています。
動かなければ、仕事もはかどり無理に会話を探さなくてもいいからです☆
どうしても反射的に顔や体が動いてしまう方は、意識的に動かないよう一度試してみてください。

今までよりもスムーズに終わるはずです♪
というわけで、今回は「お客様が善意で頭や顔を動かすことで起こり得るトラブル」について解説しました。

理美容室での振る舞い方の参考になれば幸いです!